リードの選定・準備・演奏・管理について

木管楽器の演奏者として、皆さんはいい音を出す秘訣が色々あることをご存知でしょう。要は適切なアンブシュアと呼吸法です。楽器の全音域にわたって明快に歌うマウスピースも大切です。しかし、どんなに頑張っても、リードが欠けていたり、そっていたり、自在に振動できないようではどうにもなりません。実際、素晴らしいリードはその日どんな音を出すかが決まる唯一最も重要な要素といえるでしょう。

良質のケーン

リードのケーンはフランス、アルゼンチン、スペインなど世界各地で栽培されています。 よいリードケーンには次の5つの条件が必要です。

  1. (1) 湿度の低い温帯性の沿岸気候
  2. (2) リードに適した直径のケーンを生産するための長くて暑い夏
  3. (3) 植物を休眠状態にする寒い冬
  4. (4) 最大限成長させるに十分な水
  5. (5) 豊かで軽い土壌

中でもフランス南東部のヴァール地域で栽培されたケーンが最高級の品質のケーンと言われています。リコは、この南フランス・ヴァール地方で収穫されるケーンを中心にリードを生産しています。

リードの選定

リードをよく見てみましょう。右左で均一になっていますか。厚さは一定していますか。フラットで偏りのないリードを選びましょう。
リードは左右対称でなければいけません。中央線のいずれの側も同じであること。マウスピースの開口部にぴったりあわなくてはいけません。いつもリードは複数用意しておくことが大切です。
これで予想しうる事態については対応できます。材料の植物が違うように、どのリードも少しずつ違います。このためリードを試し吹きして、気に入ったものを選んだら、リードケースにいつでも取り出せるよう保管しておくことが特に重要です。
色々なリードの強度を試してみて、どれが自分のマウスピースと一番相性がいいか、自分のアンブシュアに最適かを探ります。リードの強度はメーカーによりかなり異なる場合があります。

リードの用意

演奏する前に、まずリードを湿らせます。多くの演奏家はただ口に入れてリードを湿らせています。
これが一般的ですが、私たちとしてはティップ(リードの先端部分)が均一でしわのない状態になるまでリードを小さなコップに入れたぬるま湯に2~3分つけておくことをお勧めします。
ついで、マウスピースにリガチャーを付けます。リガチャーの下に湿らせたリードをそっとあてます。
リードの先をマウスピースの端にあわせます。リガチャーのネジを締めて、圧力がリードの皮に均等にかかるようにします。
リガチャーのネジをきつく又は緩く締めすぎないよう注意して下さい。
張力を指に心地よく感じるまで締めていきます。

最高の演奏のために

どのリードでもそっくり同じ演奏ができることはありません。
しかし、幾つかのルールに従えば、どのリードでも安定したいい演奏ができるようになります。
まず、リードは使う前にしっかり湿らせます。湿らせ方が一定でないとリードがしなったりしわができたりする恐れがあり、マウスピースにうまくのらないうえに、キーキー音まで出てしまいます。
リードを数分ぬるま湯につければこうした災難にあわずに済みます。

演奏が終わったら余分な水分をとります。
リードをきれいになるまで水でよくすすいで、拭いて乾かします。
リードケースに入れて完全に乾かします。

リードをプラスチックの袋に封印しないこと。白カビが出てしまいます。
また、1時間も2時間も水につけておくと、リードの孔が増えて、振動特性が変わり、演奏寿命が短くなります。

マウスピースとリガチャーとの間におく適当な位置を探します。
ティップ(リードの先端部分)と合わせても最高のレスポンスをするリードもあれば、ティップ(リードの先端部分)よりやや上か下、時にはやや左あるいは右寄りに動かすとよりはっきりとした響きになる場合があります。

湿気、気圧、気温の変化は、各リードの演奏状態にかなり影響します。
リードが日によって違う反応をする所以です。
学んでいく中で、こうした変化がリードのパフォーマンスにいかに影響を与えるかが分かるようになるでしょう。

リードの保管

演奏やリハーサル以外では、マウスピースを付属のキャップで覆い、リードの水分を保ち、欠けたり傷つけたりしないようにします。
リードをマウスピースにつけたまま楽器のケースに保管しないこと。
マウスピースにつけたままの乾いたリードはたわみの原因となり、演奏の質を落とします。

演奏を終えたら、リガチャーを緩め、楽器をばらす前にまずリードをはずします。
やはり、たわみや欠損を防ぐ最善の方法はリードをフラットな乾いたホルダーに保管することです。
リードケースはリードの演奏寿命を保ち伸ばす設計になっています。 リードをマウスピースからはずしたら、リガチャーとマウスピースキャップを丁寧に戻します。

キャップをあまり押し込みすぎると、マウスピースに欠損、ひびが生じることがあります。
キャップをしたマウスピース、リガチャー、保管したリードを楽器ケースの中に入れます。

ファイルド・カット/アンファイルド・カットについて

リードには、「ファイルド・カット」と「アンファイルド・カット」の2種類カットがあります。ファイルド・カットは、ケーンの表皮をU字にカットした上で、ストレートラインを一本入れたものです。また、アンファイルド・カットはU字カット部周囲の表皮を削らずに残しています。それぞれのカットのリードを使い分けることで多彩な演奏アプローチを可能にします。

アンファイルド・カット

より芯のある、まとまったサウンドになります。より深みのあるサウンド、程よく強い抵抗感が特長です。

ファイルド・カット

豊かな倍音が得られ、ハーモニーに深みを増します。クリアな音色と音の立ちあがりが特長です。
(※但し、上記のような特長、吹奏感や反応はお使いになるマウスピースやリガチャーとの組合せにより若干異なって参ります。好みに合わせてセッティングをお試し下さい。)